銀行業務検定試験「年金アドバイザー」とは?4級・3級・2級の違いを整理

2026年01月09日

わが国に居住する方であれば、誰もが公的年金制度に加入することになります。公的年金は、老後の生活、ケガや病気への備え、家族を失ったときの保障といった役割を担っています。このように誰もが知っておくべきものでありながら、その知識を有している方は多くありません。

銀行業務検定試験の「年金アドバイザー」は、年金知識がまったくない段階で学習を始める方から年金のエキスパートを目指す方まで、段階的に知識・技能が身につく試験です。

ここでは、年金アドバイザー4級・3級・2級それぞれの位置づけと特徴を整理します。

 

銀行業務検定試験「年金アドバイザー」とは

・公的年金制度を中心に、老後のライフプランに必要な知識を体系的に学ぶ検定試験

・金融機関の行職員を中心にそれ以外の方も対象として、年金知識の習得、年金相談に対応するための基礎力〜応用力を段階的に身につけられる

 

年金アドバイザー4級は【自分のための勉強/知識の基礎固め】

年金の初学者向け

  • 年金アドバイザー3級を目指すためのファースト・ステップ
  • 「まずは自分の年金を理解する」段階

 

試験概要

✅試験時間:90分
✅出題形式:三答択一式 50問
✅受験方法:全国一斉公開試験・CBT試験
✅受験料:4,950円
✅合格率:52.22%(全国一斉公開試験 2025年3月)

 

誰もが意識しなければならない老後。老後のライフプランを考えるうえで、年金はその中心となるものです。しかし、多くの人が知っておかなければならないにもかかわらず、わが国の公的年金制度は非常に複雑で、理解しにくい制度になっています。

 

年金アドバイザー4級では、試験勉強を通じて、公的年金制度の全体像や仕組みを把握できること、さらに年金請求の方法等についての知識を習得し、みずから手続ができるようになることを目指しています。

また、年金と税金、健康保険、介護保険といった老後のライフプランにかかわる重要な知識について、その基本知識の習得を目指します。

 

年金の初学者が、年金アドバイザー3級合格を目指すためのファースト・ステップとしても最適です。

 

【サンプル問題】(2025年3月出題)

公的年金の支給について、誤っているものは次のうちどれですか。

 

(1) 受給権者が死亡した場合、死亡した月分まで支給される。

(2) 受給権が発生した月の翌月分から支給される。

(3) 原則として年6回に分け、偶数月に当月分までの2ヵ月分が支給される。

 

正解(クリックで表示)

(3) *前月分までの2ヵ月分が支給される。

 

年金受給権者が受取機関を変更するときに使用する「年金受給権者 受取機関変更届」(以下「変更届」という)および住所変更について、適切でないものは次のうちどれですか。

 

(1) 受給権者が死亡した場合、死亡した月分まで支給される。

(2) 受給権が発生した月の翌月分から支給される。

(3) 原則として年6回に分け、偶数月に当月分までの2ヵ月分が支給される。

 

正解(クリックで表示)

(2) *押印は必要ない。

 

年金アドバイザー3級は【他者へのアドバイスのために知識を使う】

実務で中心となるレベル

  • 金融機関の窓口・渉外で活かしやすい
  • 老後の資産設計に関する相談・定年退職前後の顧客対応を想定

 

試験概要

✅試験時間:120分
✅出題形式:五答択一式(一部事例付) 50問
✅受験方法:全国一斉公開試験・CBT試験
✅受験料:5,500円
✅合格率:30.67%(全国一斉公開試験 2025年10月)

 

これから国民年金・厚生年金保険といった公的年金の老齢給付を受ける方は、65歳からの受給がほとんどです。この年齢は、会社勤務の方ならば、定年退職の時期でもあります。

 

金融機関の行職員が、これらの方々から老後のライフプランについての相談を受けた場合、公的年金の知識、雇用保険・健康保険や年金と税金に関する知識があれば、その回答はより充実したものになり、信頼を勝ち得ることができるでしょう。

その信頼をもとに、退職一時金というまとまったお金を有している人たちに、金融商品の提案ができるのではないでしょうか。

 

年金アドバイザー3級は、専門家しか対応できないような複雑なケースを除く一般的な事例について、的確に顧客にアドバイスできる「年金とその周辺知識」の習得を目指します。

 

【サンプル問題】(2025年3月出題)

特別支給の老齢厚生年金および老齢厚生年金について、誤っているものは次のうちどれですか。

 

(1) 厚生年金保険の被保険者期間の月数が480ヵ月を超える場合でも、報酬比例部分の額は実被保険者期間の月数から算出される。

(2) 特別支給の老齢厚生年金の受給権は、受給権者が65歳に達したときに消滅する。

(3) 特別支給の老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、厚生年金保険の被保険者期間が12ヵ月以上ある場合に支給される。

(4) 65歳からの老齢厚生年金とは、定額部分、報酬比例部分、経過的加算、加給年金額を合算したものと定義される。

(5) 65歳からの老齢厚生年金は、65歳到達日の属する月の翌月分から支給される。

 

正解(クリックで表示)

(4) *報酬比例部分、経過的加算、加給年金額を合算したものと定義される。

 

(関連記事)「年金アドバイザー3級」テキストの選び方と使い分け完全ガイド

 

年金アドバイザー2級は【年金のエキスパートとして活躍】

一段上の役割を担うレベル

  • 年金相談会の中心メンバーを指導する立場
  • 知識のアップデートでエキスパートとしての能力を維持

 

試験概要

✅試験時間:180分
✅出題形式:記述式 10問
✅受験方法:全国一斉公開試験のみ
✅受験料:8,250円
✅合格率:21.66%(全国一斉公開試験 2025年3月)

 

公的年金や公的保険制度などは、社会情勢の変化に応じて改正されるほか、定期的に見直されます。つまり、これらの知識を習得しても常にアップデートをしていく必要があります。

 

金融機関で年金相談会を行う場合、相談員の中心は「年金アドバイザー3級」合格者レベルの方となるでしょう。この方々を対象に、最新の知識を講義したり、年金相談会で難しい相談があった場合に対応したりできる知識・技能の習得を目指します。

 

1度合格された方も、定期的に受験することで知識がアップデートされるため、年金知識の定期健康診断と考えることもできます。

 

【サンプル問題】(2025年3月出題)

本問におきましては,年金額は令和6年度価格を使用し,計算途中で生じる1円未満の端数は四捨五入して計算を行ってください。

 

◆この事例を読んで、下記の質問に答えてください。

D夫さん(昭和35年2月14日生まれ)は、昭和58年4月から勤務している(株)W社を令和7年2月13日付で退職した。同年4月1日から(株)V産業に入社し、70歳の年度末まで勤務できる予定である。

(株)W社での給与は、月額550,000円(標準報酬月額560,000円)、賞与は12月に1,800,000円が支給されており、最近3年間変わっていない。(株)V産業での給与は月額400,000円(標準報酬月額410,000円)、賞与は6月と12月にそれぞれ450,000円が支給される条件である。

D夫さんの(株)W社退職後の老齢厚生年金の年金額は1,937,180円(経過的加算65,080円、配偶者加給年金額を含む)である。現在、妻(昭和42年10月7日生まれ)と2人暮らしである。

 

(1) D夫さんが(株)V産業に勤務後、受給できる令和7年7月分の在職老齢年金の年金額について、①基本月額、および②総報酬月額相当額を算出のうえ、③支給停止月額をいずれも計算式を示して算出してください。

 

解答例(クリックで表示)

① 基本月額

(1,937,180円-65,080円-408,100円)×1/12=122,000円

② 総報酬月額相当額:

410,000円+(1,500,000円(上限額)+450,000円)×1/12=572,500円

③ 支給停止月額

(122,000円+572,500円-500,000円)×1/2=97,250円

答 97,250円

 

(2) D夫さんの(株)V産業在職中の老齢厚生年金の在職定時改定に関する下記の文章の空欄(①、②)の中に入る最も適切な数値を記入してください。

在職定時改定により最初に年金支給額が増えるのは( ① )からである。この改定により報酬比例部分の額が月額1,000円増えた場合、D夫さんが受給できる在職老齢年金の額は、その月の前月に比べて月額( ② )円増える。

 

解答例(クリックで表示)

① (令和)7(年)10(月分)

② 500(円)

 

(3) 高年齢求職者給付金に関する下記の文章の空欄(①~③)の中に入る最も適切な語句または数値を記入してください。

65歳以上の雇用保険の被保険者で、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除いた者である( ① )が失業した場合、高年齢求職者給付金が支給される。受給するには、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あることが必要で、受給額は被保険者であった期間が1年以上の場合は基本手当日額相当額の( ② )日分である。受給期限は離職日の翌日から1年である。
D夫さんが仮に(株)V産業に入社しなかった場合は、支給対象となる。予定どおり(株)V産業に入社し70歳の年度末に離職した場合は、支給対象と( ③ )。

 

解答例(クリックで表示)

① 高年齢被保険者

② 50(日分)

③ なる

 

(4) D夫さんは65歳から老齢厚生年金(在職老齢年金)を受給し、老齢基礎年金は繰下げ待機をしています。令和12年4月に老齢基礎年金の繰下げの申出をした場合、受給できる年金額の総額を計算式を示して算出してください。なお、受給できる報酬比例部分の額は1,620,000円、(株)W社入社前は国民年金未加入とします。

 

解答例(クリックで表示)

・老齢基礎年金

816,000円×442ヵ月/480ヵ月=751,400円

751,400円+751,400円×62ヵ月×0.7%≒1,077,508円

・老齢厚生年金(報酬比例部分+経過的加算+配偶者加給年金額)

1,620,000円+65,080円+408,100円=2,093,180円

・合計

1,077,508円+2,093,180円=3,170,688円

答 3,170,688円

 

全国一斉公開試験とCBT試験の違いは?

CBT試験と全国一斉公開試験では、出題範囲や問われるテーマ、難易度の水準は同じです。出題される問題自体は異なりますが、同じ学習範囲から、同じ水準で出題されるよう設計されています。そのため、どちらの形式を選んでも、試験のレベルや評価基準に差はありません。

利用教材も、全国一斉公開試験とCBT試験は同一です。

 

(関連記事)銀行業務検定試験のCBT方式とは? ログイン方法等よくある質問をQ&Aで解説

 

まとめ|年金アドバイザーは「段階的に活用」

・4級:年金を知るために活用

・3級:年金を使うために活用

・2級:年金のエキスパートとして活用

 

誰もが必要である年金・社会保険の知識。それをどのように学習していけばよいか。年金アドバイザー試験は、その道筋を明るく、まっすぐに照らす光です。

あなたの知識レベルに応じた学びがそこにあり、それを維持していける学びもあります。

 

▶全国一斉公開試験|銀行業務検定試験の種目一覧・申込サイトはこちら

▶CBT試験|銀行業務検定試験の種目一覧・申込サイトはこちら